ブックタイトルぎふ家づくりの本 2016年版

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概要

ぎふ家づくりの本 2016年版

52◎木の温もりに包まれる今回のプロジェクトでは、木材はできるだけ県産材を使用。ツリーハウスの部分を中心にスギを多く用いました。一般的に床材などでは堅い広葉樹を使い、柱材では木目が通ったヒノキやスギを使うことが多いとされています。スギはヒノキよりも柔らかく傷がつきやすいので床材にはあまり向かないとされていますが、近年は一般家庭でもムクのスギ材を床材に使用するケースも増えています。それは、素手や素足で触れたときに木の温かみを感じられるから。子どもたち素手や素足で触れるところのほとんどがムクのスギ材となっています。子どもたちにとって、“原寸大”のサイズ感。その目線こそが、「住居学」です。◎子どものサイズ感に合わせる大人の感覚で決めていくと、実際に子どもたちが使った時に違和感があったり、危険なことがある場合もあります。そのため、初等教育学専攻の先生に話しを伺うなどしていろいろな寸法を決めていきました。例えば、ツリーハウスの手摺りの高さは123cmで、縦格子の間隔は9cm。幼稚園児が乗り越えられない高さで、頭を外に出すことができない幅にして安全を確保しています。また、子どもたちが手洗いをする洗面台の高さは通常75?80cmのところを55cm、ベンチとしても使える収納の高さは26cm。大人から見ると「こんなに低くていいの?」というものですが、実際に使われるようになると、子どもたち目線でのサイズ感の大切さをより実感できました。◎アプローチも子ども仕様外部から保育実習棟へと入ってくるアプローチにも、工夫と苦労がいっぱいです。地面から玄関までには段差があるため、アプローチはこの23cmの高さをいかにスムーズに移動できるようにするかが課題となりました。また階段だけでなく、ベビーカーや車いすでも楽に移動できるためのスロープが必要になるため、設計ではその動線づくりを、施工では基礎となるコンクリートと鉄筋工事という力仕事も学生たちで行いました。スロープの立ち上がりの壁にはコンクリートを流し込む前に「えほんかん」の文字とキリンの絵柄を硬質ウレタンホーム端材で取り付け、かわいいサインに仕上がりました。玄関のドアは、左右に大きく開く吊り下げタイプの白い引き戸。淡いグリーンの外壁、上部の四角い小窓、さらに後方の山の風景と合わせて、やさしい佇まいの正面ファサードとなっています。[心配り]