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岐阜県高山市。山里の中にある工場が木村さんの制作スペース。東京の新婚家庭への納品日を翌日に控えた慌しい現場にお邪魔しました。明日届けられるというベッドはシンプルながら美しい仕上がり。「基本的なコンセプトはシンプルな美しさ。ただ、シンプルでありながら、ありそうでいて、見たことのない物づくりを心がけています」とのこと。
チェア
背もたれのちょうどいい角度が、長時間座っても疲れを感じさせません。
ワゴン
独特の柔らかい雰囲気を出すため、木部はスギを使用。プレートの両サイドと取っ手部分は、使い込むほどにツヤが出るエンジュを採用。鉄部は絹の焼き付け。キャスターはドイツ製。
トイレットペーパーホルダー
本体はステンレス。蓋はローズウッド。芯の部分には、滑りが良く、質感、色も良いサクラ材を採用しています。 |
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使い込むほどに肌触りが違う
ソファ、テーブルセットなどを含めた一式の納品でしたが、中でも強いこだわりがあるのがテーブル。表面の仕上がりに大きな違いがあります。木には順目、逆目があり、実は逆目を止めるには相当な技術を要します。「長野県・松本の指物師に師事していたときに随分仕込まれたおかげですね。何度も研ぎ直して刃の角度を微妙に調整することで逆目を止めます。部屋全体を暗くした上で、集中的に光を当てて、陰影を見たりしながらの作業にもなります。多くのテーブルは逆目で出たムラになった部分をサンドペーパーでこすって仕上げます。それは繊維の束をペーパーによって潰すことになります。技術が必要ですが、カンナで逆目を止めるということは、ストローをスパッと切ったような状態です。ですから、お店などで一見しただけでは、なかなか分からないのがツライところなんですけどね(苦笑)。ただ使い込むほどに肌触りも違ってきます。サンドペーパーで仕上げたものは年月が経過すると、くすんできますしね。逆にカンナがけが優れていると、使い込むほどにツヤが出てきます」。
そう語る木村さんの表情には強い自負心が宿っているように感じられました。何倍もの手間を経て完成するからこそ手にできる“本物”。だからこそ使い込むほどに愛着が増し、何世代にも渡って大切に受け継がれていくのでしょう。 |
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名刺入れ
独立記念のプレゼントという依頼を受けて制作。蓋部分は、一枚の板で作ると反ってしまいますし、強度も足りないので、1mm厚にスライスしてから 3枚接着しています。ブラックウォールナット、サクラ、エンジュ、ローズウッド。4種類のバリエーションがあります。
ティッシュボックス
アイアンと木の組み合わせが斬新なティッシュボックス。角度によって、アイアンの微妙な模様、輝きが変化するのも楽しげです。
ローテーブル
脚部は曲線を表現するため、サンドペーパー仕上げ。天板はカンナ掛け仕上げ。カンナとサンドペーパーを適材適所に使い分けることで、美しいフォルムを表現しています。天板はサクラ、脚はローズウッド。貫および 金具はステンレス。
ダイニングテーブル
職人ならではのカンナ技術の冴えが感じられるダイニングテーブル。使うほどに輝きが増し、ツヤが出ます。
ベッド
ベッドボードには金属をあしらい、アクセントに。素材はサクラ、エンジュ、ヒノキ無節スノコ。
へり部分
テーブルのへりにつけるRにもこだわっています。「定規で測っただけでは、人間の目には自然なRに見えないケースが多いんですよ。自分の目で何度も確かめながら、角度を絞ったり緩めたりしています」。そこには常にひと手間を惜しまない姿勢が貫かれています。
チェア
ひじ掛け付きもいい感じです。

岐阜県高山市岡本町4-60-1
080-3132-3477
e-mail mobelbau@khaki.plala.or.jp
URL http://www15.plala.or.jp/soushinan/ |
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